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いち東大生の書評ブログ

最近やっと熱心に本を読むようになった、とある文系東大生による気楽な書評ブログです。

叶うかどうかは自分次第―『夢をかなえるゾウ 文庫版』

夢をかなえるゾウ文庫版

夢をかなえるゾウ文庫版

今回紹介するのは、水野敬也『夢をかなえるゾウ 文庫版』飛鳥新社(2011年)です。
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私事ですが、この本は、私の高校生の時の担任の先生が、自分が持っている本を生徒が読めるようにと教室の本棚に置いてくれていた中にあったということで、印象深い本です。


しかし、高校時代の私は背表紙を眺めるばかりで、結局読むことはありませんでした。最近ブックオフで見かけたので、懐かしく思って読んでみたという次第です。


売上が200万部を超えたベストセラーで、ドラマ化、アニメ化もされたようです。
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「自分、変わりたいの変わりたないの?どっち?」

冴えない主人公のもとに突然やって来た、関西弁で話し、馴れ馴れしく接してくる不思議なゾウの神様「ガネーシャ」。この「夢をかなえるゾウ」が主人公に1日1つ人生で成功するための課題を与えるという物語。


その課題は「トイレ掃除をする」「明日の準備をする」といった簡単で地味なものばかり。訝しく思いつつも課題をこなす中で、少しずつ主人公に変化が表れ...。


いわゆる「サクセスストーリー」ですが、一風変わった設定で、中々に読み応えがあります。漫画のような書きぶりで、ちょっとくすぐったい気持ちになるような表現もありますが、本を読むのが苦手な方でも抵抗なく読めることの裏返しとも言えます。
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作中で示される課題は、どれも歴史上や現代の偉人と呼ばれる人々の言動が参考にされていますが、実はどれもゾウの神様がそれらの偉人に教えてあげたという設定。「手塚治虫くん」「ケインズくん」と馴れ馴れしく呼ぶのは滑稽ですし、表現として新鮮に感じます。


課題は上記のようにいわゆる「当たり前のことを当たり前にやる」系です。言うのは簡単ですが、実際に行動するとなるとなかなか難しいんですよね。思わず我が身を振り返ってしまいます。実際に作中でも「本を読んだりして意識を変えるだけではダメで、実際に環境や行動を変えなければならない」と檄を飛ばす場面があります。


でも、この本も本である以上やはり意識を変えることに終始してしまう可能性はありますね。そうなると、自己啓発本と捉えればやや自己矛盾な感じは否めません。しかし、純粋にフィクションとして楽しむ分には大変面白い本ですし、結局どうするかは読者の勝手ですから、本書の価値を下げることにはならないでしょう。
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続編もあるということなので、気になる方は以下のリンクよりどうぞ。

夢をかなえるゾウ2 文庫版

夢をかなえるゾウ2 文庫版

夢をかなえるゾウ3

夢をかなえるゾウ3

ページ数多く、読み切るのには時間がかかるかと思っていましたが、内容は平易で親しみやすく、一気に読むことが出来ます。もちろん、物語の中の課題をこなしながら少しずつ読んでいくのもいいですね。